P2W* over P2SH

ビットコインの要求をスクリプト化するための witness scriptPubKey を使うことが魅力的だと思われてきている一方で、実際最近のウォレットのほとんどは、P2PKHあるいはP2SHしかサポートしていない。

古いソフトウェアが共存している間、segwitの利点を利用するために、P2SH上でP2Wを使うことができる。古いBitcoinCoreを使っているノードにとっては、それは普通のP2SHを利用した支払いと捉える。

どんな P2W* でも P2SH上のP2W* に変換できる。以下の手順を踏む。

  1. ScriptPubKey を、同じ内容を示すP2SHで置き換える

  2. 変換前の ScriptPubKey はトランザクションインプットの scriptSig の中に1つだけのプッシュとして記録される。

  3. すべての他のデータはトランザクションインプットのwitnessに示される。

心配しないでほしいのだが、もしこれが複雑だと思われたとしても、TransactionBuilderによって効果的にトランザクションを生成できる。

P2SH上のP2WPKH、または略称では P2SH(P2WPKH) だが、例を見てみよう。

ScriptPubKey を表示する。

var key = new Key();
Console.WriteLine(key.PubKey.WitHash.ScriptPubKey.Hash.ScriptPubKey);

注意:これはとても畏怖の念を感じさせるコードだ。

そうするとよく親しみのあるP2SHの scriptPubKey が表示される。

OP_HASH160 b19da5ca6e7243d4ec8eab07b713ff8768a44145 OP_EQUAL

そしてこのアウトプットを使う、署名されたトランザクションは以下のようになる。

"in": [
    {
      "prev_out": {
        "hash": "674ece694e5e28956138efacab96fc0bffd7c6cc1af7bb2729943fedf8f0b8b9",
        "n": 0
      },
      "scriptSig": "001404100ab485c95701bf0f4d73e3fe7d69ecc4f0ea",
      "witness": "3045022100f4c14cf383c0c97bbdaf520ea06f7db6c61e0effbc4bd3dfea036a90272f6cce022055b0fc058759a7961e718d48a3dc4dd5580fffc310557925a0865dbe467a835901 0205b956a5afe8f34a01337f0949f5733b5e376caaea57c9624e40e739a0b1d16c"
    }
  ],

scriptSig は先ほど出てきたScriptPubKey(言い換えると、key.PubKey.WitHash.ScriptPubKey)のP2SH化されたredeem scriptのプッシュでしかない。witnessは完全に通常の P2WPKH による支払いと同じになっている。

NBitcoinでは、P2SH(P2WPKH) に署名することは、ScriptCoinを用いた通常のP2SHとほぼ同じようなものだ。

同じ原則に則って、P2SH(P2WSH) がどのように見えるかを見てみよう。この場合、2つの異なるredeem scriptを扱わなければならない。トランザクションインプットの scriptSig に入れる必要のある P2SHのredeem script と、witnessに入れる必要のある P2WSHのredeem script だ。

最初のルールにもとづいて、scriptPubKey を表示してみよう。

  1. ScriptPubKey をP2SHと同等の情報で置き換える。

    var key = new Key();
    Console.WriteLine(key.PubKey.ScriptPubKey.WitHash.ScriptPubKey.Hash.ScriptPubKey);
    OP_HASH160 d06c0058175952afecc56d26ed16558b1ed40e42 OP_EQUAL

    注意:理解できるから、ここでキレて回線切断しないで!

  2. 置き換え前の ScriptPubKey はトランザクションインプットの scriptSig にたった1つのプッシュとして記録される。

  3. すべての他のデータはトランザクションインプットのwitnessにプッシュされる。

項番3の「他のデータ」というのは、P2WSHにおける支払いの文脈では、P2WSHのredeem script のプッシュに続く、P2WSHのredeem script のパラメータを意味する。

"in": [
    {
      "prev_out": {
        "hash": "1d23fa744a26cf6433f0841e9de7e088cf95e6f953e584b98d0de6ef4216765f",
        "n": 0
      },
      "scriptSig": "0020c54eb79829b2e26b71d15fd3b490b6e95cbdab361a45eed2cdfe642497480a6c",
      "witness": "3045022100d7570c3bf87149a0be3ba2e8bfccbdd35c3da44f741695e9962014795fabc4fc02203183cfa55a85728520b0f1ac59ac3ffa1a8526634fe619f99fac0f76016f366e01 2103146e87d7fcc81f3e044f97c6b262c01826f40a9ab9acae0f689983a5890a1f4dac"
    }
  ],

要約すると、P2SHのRedeem Scriptがハッシュされて、通常のP2WSHによる支払いとしてP2WSHのscriptPubKeyが得られる。そして通常のP2SHの支払いとして、P2WSHのscriptPubKeyはハッシュされて置き換わり、まさにP2SHを作るために使われる。

もし、P2SH/P2WSH/P2SH(P2WSH)/P2SH(P2WPKH)が複雑に思えていても、怖がることはない。 NBitcoinでは、これらP2SHが関連するすべての支払い形式においてScriptCoin を作ることだけしか求めない。それは P2SH の章で説明したとおりで、P2WSHかP2SHのRedeem ScriptとScriptPubKeyを与えてやれば、作ることができる。

NBitcoinに関して言えば、使いたいと思っているトランザクションアウトプットを使い、正しいredeem scriptがあれば、前章の「マルチシグ」の章で説明されたように、そして次の「TransactionBuilderを使ってみる」の章でも説明するが、TransactionBuilder が正しい署名の仕方を把握してくれる。

P2SH/P2WSH/P2SH(P2WSH)/P2SH(P2WPKH)それぞれに互換性があるのだ。

P2WPKHまたはP2WSHの支払いの例をさらに見たい場合は、http://n.bitcoin.ninja/checkscriptで見られる。

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