トランザクション

(Mastering Bitcoin) トランザクションは、ビットコインシステムの中で最も重要な部分です。システムの他の要素はすべて、トランザクションが作成され、ビットコインネットワークを伝搬し、検証され、最後にグローバルなトランザクション元帳(ブロックチェーン)に追加されるという、一連の流れを支えるように作られています。トランザクションは、ビットコインシステムの参加者間の価値の移転をエンコードしたデータ構造です。個々のトランザクションは、複式簿記の元帳であるブロックチェーンに記された、誰でも見ることができる取引記録です。

トランザクションには受け取り手がいないかもしれないし、複数いることもあるかもしれない。それは送り手にも同じことが言える! ビットコインブロックチェーン上では、前章で示したとおり、送り手と受け取り手は、常にScriptPubKeyによって抽象化されている。

もしビットコインコアを使っていたら、Transactionsタブをクリックすると、このようにトランザクションを参照できる。

ここでTransaction IDに着目してみたい。上図のケースだと以下がTransaction IDである。

f13dc48fb035bbf0a6e989a26b3ecb57b84f85e0836e777d6edf60d87a4a2d94

注釈:Tranaction IDは「SHA256(SHA256(txbytes))」と定義できる。

注釈:承認されていないトランザクションを扱うときにTransaction IDを使ってはいけない。Transaction IDは承認される前は改ざんできてしまうからだ。これを「トランザクション展性」という。

Blockchain.infoのようなブロックエクスプローラーでトランザクションを閲覧することができる。 https://blockchain.info/tx/f13dc48fb035bbf0a6e989a26b3ecb57b84f85e0836e777d6edf60d87a4a2d94 しかし開発者としてはおそらく、より簡単にクエリを実行したりパースしたりすることができるサービスがほしいと思うだろう。 C#の開発者、そしてNBitcoinのユーザーとしては、Nicolas DorierのQBit Ninjaが最適な選択肢だと思う。ブロックチェーンに対してクエリを発行でき、またウォレットを追跡するためのオープンソースのWebサービスAPIである。 QBit NinjaはMicrosoft Azure Storageを基盤としているNBitcoin.Indexerに依拠している。C#開発者にはこのAPIのラッパーは開発せず、クライアントライブラリーであるNuGet client packageを使うことをお勧めする。

http://api.qbit.ninja/transactions/f13dc48fb035bbf0a6e989a26b3ecb57b84f85e0836e777d6edf60d87a4a2d94にアクセスしてみると、トランザクションの内容を見ることができる。

次のコードを使って16進数表現のトランザクションをパースできる。

出力された情報の多さで怖くなる前に、出力タブを閉じてくれ。QBit NinjaクライアントがAPIに対して問い合わせをして情報をパースしてくれる。QBitNinja.Client の NuGet packageをインストールしてみよう。

Transaction IDを使ってトランザクションのクエリを発行してみよう。

変数 transactionResponse の型はGetTransactionResponseで、QBitNinja.Client.Modelsのネームスペースに定義されている。この変数から NBitcoin.Transaction 型のオブジェクトを取り出せる。

これら2つのクラスから Transaction IDを取り出す例を見てみよう。

GetTransactionResponse はトランザクションの中で消費されようとしているインプットの値や、インプットのScriptPubKeyのようなトランザクションデータに含まれない追加的な情報を含んでいる。

ここで言及したい重要な部分は インプットアウトプット である。1つのScriptPubKeyに13.19683492BTCが送られていることがわかるだろう。

QBitNinjaのGetTransactionResponseクラスを使って、「受け取った」BTCの情報を表示した。 Exercise : QBitNinjaのGetTransactionResponseクラスを使って、「使われた」BTCの情報を表示してみよう!

さて今度は、NBitcoinのTransactionクラスを使って、QBitNinjaで表示した「受け取った」BTCの情報と同じものを、どのように表示するか見てみよう。

では、インプットとなっているトランザクションを見てみよう。見てみると、1つ前のトランザクションのアウトプットが参照されているのに気づくだろう。各インプットトランザクションが、いま着目しているトランザクションにBTCを充てるためにどのアウトプットを使っているかを示している。

TxOutOutputoutは同義語である。 OutPoint と混同してはいけないが、この点については後ほど触れる。

要約すると、あるTxOutとはビットコインの額とその受け取り手のScriptPubKeyの組み合わせを示す。

上図のとおり、いま対象のトランザクションにある一番最初のScriptPubKeyから21BTCを支払うトランザクションアウトプットを作ってみよう。

すべてのトランザクションアウトプットは、それを包含するトランザクションのIDと、そしてトランザクションの中で何番目のアウトプットかを示すインデックスにより、ブロックチェーン全体の中で一意に識別される。その一意に識別できる情報のことをOutPointと呼ぶ。

例えば、いま対象にしているトランザクションの13.19683492 BTCのアウトプットのOutpointは以下である。(f13dc48fb035bbf0a6e989a26b3ecb57b84f85e0836e777d6edf60d87a4a2d94, 0).

さて、インプット(すなわちトランザクションインプット)に目を向けてみよう。

トランザクションインプットは支払いに使おうとしているトランザクションアウトプットのOutpointScriptSig(ScriptSigは所有権の証明とも言える)によって構成されている。今題材にしているトランザクションでは現に9つのインプットがある。

過去のoutpointのトランザクションIDを使って、そのトランザクションに関連付けられた情報を参照できる。

日本語版注:firstPreviousOutPointは、NBitcoinで1つめのインプットの元となった過去のトランザクションのアウトポイントを参照している。2行目ではアウトポイントから得られたトランザクションハッシュ/トランザクションIDを、QBit Ninjaクライアントに渡してトランザクションの情報を取得している。

やろうと思えばこの方法を使って、コインベーストランザクション、つまりマイナーによって新しく発掘されたコインのトランザクション(すなわち、それ以前のトランザクションは存在しない)にたどり着くまで、トランザクションIDをさかのぼり続けることができる。 Exercise:題材にしているトランザクションの1番目のインプットを過去にさかのぼり、コインベーストランザクションを見つけよう! ヒント:私は数分後、30~40トランザクションさかのぼったときに諦めた。

そう、君の推測は正しい。これを行うのは効率的な方法ではないが、良い練習になる。

今の題材の例では、過去のアウトプットの合計は13.19703492 BTCであった。

このトランザクションでは、13.19683492 BTCが受け取られている。

Exercise: 使用したコインを取得したのと同じように、受け取ったコインの総量を取得してみよう。

0.0002 BTC(言い換えれば13.19703492 - 13.19683492)が計上されていないということだ!インプットとアウトプットの差はトランザクション手数料あるいはマイニング手数料と言われている。これはマイナーに、与えられたトランザクションをブロックに含めてもらうために渡す手数料である。

注意してほしいのだが、コインベーストランザクション だけは、そのアウトプットの値がインプットの値より高い。これは事実上コインの創造に相当する。よって定義上、コインベーストランザクションに手数料は存在しない。コインベーストランザクションはすべてのブロックの最初のトランザクションとなっている。 コンセンサスルールによって、コインベーストランザクションの中のアウトプットの値の合計は、ブロック内のトランザクション手数料の合計とマイニング報酬の和を超えないようになっている。

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